GL頭部外傷治療・管理のガイドライン 第4版(2019)
治療のポイント
・持続的にICPをモニタリングし,リアルタイムに頭蓋内環境を把握することで2次的脳損傷を予防することが重要である.
・ICP亢進に対して低侵襲な治療から侵襲的治療へと段階的に強化する.
AICPの治療閾値
頭蓋内圧(ICP:intracranial pressure)の正常値は年齢により大きく異なり,新生児は1.5~6 mmHg,小児は3~7mmHg,思春期~成人では10~15mmHg以下とされる.いくつ以上のICPを異常ととらえ治療を開始するかについては諸説あるが,最近の米国ガイドラインでは22mmHgとされている(Neurosurgery 80:6-15,2017).また,わが国の「頭部外傷治療・管理のガイドライン 第4版」では,治療を開始する閾値は15~25mmHg程度とすることが望ましいとしている.
BICP測定の適応
昏睡状態にある脳挫傷で鎮静が必要な患者や,外減圧術を施行した患者,頭蓋内血腫を除去した患者などにはICPを測定すべきである.前述のわが国のガイドラインでは,GCS 8点以下の重症頭部外傷においては以下のようにICPモニタリングの適応が定められている:①GCS 8点以下,②低血圧(収縮期血圧<90mmHg),③正中偏位,脳槽の消失などのCT所見(いわゆる脳ヘルニア所見を呈する場合)のいずれかを満たす場合.また,バルビツレート療法や体温管理療法を行う場合にも,治療効果判定のためにICP測定を行うよう勧められている.
CICP亢進に対する治療
ICPコントロールのためのベーシックな治療がまず選択され,これが有効でない場合,より侵襲的な治療方法が選択され(stepwise algorithm),段階的に治療法を強化する治療プロトコールが用いられる.どの段階においてもICP上昇,神経学的所見の悪化の