今日の診療
治療指針

ニボルマブ


特 徴

 抗悪性腫瘍薬,ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体.

 癌に対する免疫機構の1つとして,腫瘍細胞に発現する腫瘍関連抗原を樹状細胞が認識すると,樹状細胞(抗原提示細胞)は,この腫瘍関連抗原をT細胞に呈示する.それにより傷害性T細胞が活性化され腫瘍細胞と結合して腫瘍細胞にアポトーシスを引き起こす.

 一方,活性化されたT細胞の表面にはPD-1(Programmed Death 1)受容体が発現し,また,樹状細胞表面にはPD-1のリガンドであるPD-L1(Programmed Death-Ligand 1),PD-L2の発現が増加する.PD-L1は普段からT細胞や抗原提示細胞,癌細胞などの表面に発現しているが,癌ではその発現が増加するとされる.PD-L1,PD-L2がT細胞の表面のPD-1に結合すると,T細胞の活動を抑制するシグナルが伝達され,T細胞から腫瘍細胞にアポトーシスを誘導するためのサイトカインの産生が低下するので腫瘍細胞が増殖する.PD-L1,PD-L2は,T細胞応答を抑制させる因子として働くチェックポイント蛋白である.腫瘍細胞はT細胞の攻撃を逃れるために,この免疫チェックポイント・シグナル伝達を利用する.

 ニボルマブは,抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体であり,PD-1とPD-L1/L2の結合を阻害することによって,T細胞の活性を回復させ,腫瘍細胞への攻撃を促進させると考えられている.2014年7月に製造販売が承認され,悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント療法として大いにその成果が期待され,切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌,根治切除不能または転移性の腎細胞癌,再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫,再発または遠隔転移を有する頭頸部癌,癌化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌,癌化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対して適

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