ニュートピックス
・タバコメーカーであるフィリップ モリス インターナショナルが英国の吸入薬開発会社ベクチュラ社(エリプタ,ブリーズヘラーなどの開発)の買収を行ったことを受けて,世界の呼吸器関連学会が懸念を示す共同声明を2022年1月に発表した.
治療のポイント
・気管支喘息・COPDの治療は吸入薬が主体であり,デバイス選択が重要である.欧米に比してわが国ではドライパウダー製剤が多用されているが,エアロゾル製剤との使い分けを行い,薬剤師・看護師と連携した吸入支援を行う.
Aドライパウダー製剤の選択と吸入流速
製薬会社提供の吸入トレーナーなどを用いてチェックする.音が3秒以上継続して出せない場合,そのデバイスの使用はできない.また,デバイスの抵抗が小さく,一瞬で肺の容量を使い切るようなブリーズヘラーは,ゆっくり深く吸うように吸入指導を行う.吸入流速が速すぎると,咽頭後壁に吸入ステロイドなどが衝突し付着するため,咽喉頭カンジダ症などをきたしやすくなる.
Bエアロゾル製剤と吸入スペーサー,エアロチェンバー
エアロゾル製剤は同調が難しいが,スペーサーなどにいったん噴出したものを吸入する.地方厚生局へ喘息治療管理料2の申請を行えば,6歳未満または65歳以上に280点のエアロチャンバーを含む算定が可能となる.
C終末期COPDでの吸入薬
COPDでは高齢になるにつれ,最大吸入流速が低下し,英国人での検討でも75歳以上では50L/分を下回る.高齢で肺機能が低下した在宅酸素療法患者へのドライパウダー製剤使用は厳しいと考える.
D認知症高齢者,介護者の有無
認知症がある場合,介護者とともに1日1回確実に吸入薬を使用する時間を設けるべきである.手指の筋力低下には補助具を使用する.吸入デバイスの使用が難しい場合には超音波ネブライザーを用いて吸入を行う.呼吸器機能障害の程度に応じて,これらの用具の購入補助を行っ
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