今日の診療
治療指針

非侵襲的陽圧換気療法
non-invasive positive pressure ventilation(NPPV)
門脇 徹
(国立病院機構松江医療センター・呼吸器内科医長)

GLNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン改訂第2版(2015)

治療のポイント

・長期(在宅)NPPVは,高CO2 血症を伴う呼吸不全(=慢性Ⅱ型呼吸不全)に適応がある.

・導入時には,患者が忍容可能かつ効果的にPaCO2 を低下させる機器設定(主に吸気圧やバックアップ呼吸)を行う必要がある.

・定期的な治療評価を行いながら,適宜機器設定を変更する必要がある.

A長期(在宅)NPPVの適応と目的

 COPD,拘束性胸郭疾患(肺結核後遺症・後側弯症など)などの種々の疾患による高CO2 血症を伴う呼吸不全(=慢性Ⅱ型呼吸不全)に適応がある.

 主に睡眠時に使用することで睡眠呼吸障害の改善,呼吸筋負荷の改善,呼吸調節系セッティングなどに治療効果を発揮する.これによりQOLを改善し生存期間を延長することが目的である.

B長期(在宅)NPPVの導入の実際

 在宅用NPPV機器には大きく分けてCPAP(continuous positive airway pressure)モードとbilevel PAPモードが搭載されている.高CO2 血症の治療は後者で行う.bilevel PAPモードでは吸気圧(IPAP:inspiratory positive airway pressure)と呼気圧(EPAP:expiratory positive airway pressure)を設定するが,bilevel PAPモードではこれらを固定する「固定圧モード」と,設定した目標換気量に沿ってIPAPやEPAPを自動調節する「換気保障圧補助換気(VAPS:volume assured pressure support)モード」がある.代表的なモードは後述するが,重要なことは1つのモードに固執するのではなく,それぞれのモードの特性を理解したうえで,病状に即しかつ患者が継続可能なモード選択を行うことである.またマス

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