今日の診療
治療指針

気管支喘息
bronchial asthma
堀江健夫
(前橋赤十字病院・呼吸器内科部長)

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GL喘息予防・管理ガイドライン2021

GL喘息診療実践ガイドライン2022

ニュートピックス

・プライマリ・ケア医向けの「喘息診療実践ガイドライン2022」が新たに発刊され,実臨床に即した治療戦略が提案された.

・「喘息予防・管理ガイドライン2021」では,アレルゲン免疫療法を長期管理のオプション治療として位置づけた.

治療のポイント

・吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2 刺激薬の配合剤を基本治療薬として開始し,症状などに応じて長時間作用性抗コリン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬を追加する.吸入指導は必須である.

・治療による症状改善とコントロール状態を適切に評価し,不十分な場合は早めに専門医へ紹介する.

・治療アドヒアランスは低い.症状の改善が得られても気道炎症は残存しているため,継続した治療が必要であることを繰り返し説明する.

◆病態と診断

A病態

・気管支喘息は気道の慢性炎症を本態とし,変動性をもった気道狭窄による喘鳴,呼吸困難,胸苦しさ,咳などの症状を特徴とする,若者から高齢者に及ぶコモンディジーズである.

・気道狭窄はアレルゲン曝露やウイルス感染,運動,天候の変化などが契機となる.

・その病態には,平滑筋細胞,気道上皮細胞などの気道構成細胞,好酸球,好中球,リンパ球,マスト細胞などの炎症細胞,さまざまなサイトカインが関与しており,多様な表現型(フェノタイプ)からなる異質性・複雑性を有する疾患群と認識されている.

B診断

・診断基準はなく,発作性の呼吸困難,喘鳴,胸苦しさ,咳(夜間,早朝に出現しやすい)の反復を訴え来院した場合に疑い,身体所見や検査結果をふまえ総合的に判断する.

・問診では小児喘息やアレルギー性鼻炎の既往,家族歴,職歴についても確認する.喘鳴は重要な所見であり,問診と聴診で確認を行う.強制呼出で聴取できることもあるため,入念に胸背部の聴診を行う.

・診断の際に有用な

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