今日の診療
治療指針

禁煙治療
management of smoking cessation
大森久光
(熊本大学大学院教授・生体情報解析学)

頻度 よくみる

GL禁煙治療のための標準手順書 第8.1版

ニュートピックス

・2022年9月現在,バレニクリンの出荷が停止されているが,ニトロソアミンの定量評価が完了しだい出荷予定とのことである(現在出荷時期については未定である).現時点での評価で健康被害の可能性は低い.

治療のポイント

・身体的依存には禁煙補助薬による薬物療法,精神的依存には認知行動療法などを行う.

・一般診療および入院患者の禁煙治療にあたっては,「禁煙治療のための標準手順書(第8.1版)」を活用する.

・保険診療における禁煙治療で薬剤の使用は必須ではない.薬剤を使用しなくても,行動療法などニコチンの精神的依存に対する治療を行うことは,禁煙補助薬使用に劣らず効果的である.治療者が動機づけ面接や認知行動療法などの面接技術を向上させ,積極的に治療に取り組むことが推奨される.

・各薬剤の使用にあたっては,薬品説明書または製薬会社からの情報を参考にする.

◆病態と診断

A病態

・喫煙習慣の本質はニコチン依存症であり,身体的依存と精神的依存(認知のゆがみなどの心理的依存や行動的依存)が存在する.

・「再発しやすいが,繰り返し治療することにより完治しうる慢性疾患」ととらえられている.

B診断

・保険適用の対象患者を抽出するために,ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS:Tobacco Dependence Screener)を実施する.TDSスコア(0~10点)が5点以上をニコチン依存症と診断する.

◆治療方針

 身体的依存には禁煙補助薬による薬物療法,精神的依存には認知行動療法などを行う.「禁煙治療のための標準手順書(第8.1版)」も参照されたい.

 保険診療のポイントは,①直ちに禁煙しようと考えている,②TDSスコアが5点以上,③35歳以上の場合,ブリンクマン指数(1日喫煙本数×喫煙年数)が200以上,④禁煙治療を受けることを文書により同

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?