GL静脈経腸栄養ガイドライン第3版(2013)
治療のポイント
・14日間以上,経口摂取・経腸栄養が不可能,不十分である,もしくはそういった状態が予想される患者に対して,中心静脈にカテーテルを留置して末梢静脈から投与できない高浸透圧の糖質・アミノ酸・電解質を含む輸液を投与することにより,栄養状態の改善をはかる.
・経口摂取や経腸栄養は,腸管の働きを維持し,侵襲時の生体反応制御にも重要な役割を果たし,安全性や経済性にも優れているため,可能となればすみやかに移行や併用を検討する.
・開始液を2~3日投与ののち維持液に変更する.定期的に血糖値をモニタリングする.
・重篤な代謝性アシドーシスやウェルニッケ脳症を引き起こすことがあるため,総合ビタミン剤投与が必要である.また,必須脂肪酸欠乏症予防のため脂肪乳剤投与が必要である.
・感染予防対策が重要である.
・「静脈経腸栄養ガイドライン第3版」が日本静脈経腸栄養学会により作成されている.
◆治療方針
A適応
適応疾患として,十分な経口・経腸栄養が施行できない場合〔短腸症状群,炎症性腸疾患,消化管瘻,イレウス,重症膵炎,消化管機能不全による栄養障害時,消化管手術後,消化管出血,嘔吐,異化亢進時(広範熱傷,多発外傷),神経性食思不振症など〕に用いられる.病態は経時的に変化するので定期的に評価を行い,経口摂取や経腸栄養を含めた栄養投与方法を適宜検討していくことが必要である.
B手技
穿刺部位として,内頸静脈,鎖骨下静脈,大腿静脈などが選択されるが,偶発症リスクおよび感染防止の観点から内頸静脈が選択されることが多い.穿刺は,高度バリアプレコーション下で行う.誤穿刺予防にエコーガイド下穿刺が有用である.肘静脈など末梢静脈から穿刺し中心静脈にカテーテルを留置するPICC(peripherally inserted central venous catheter)は,