Ⅰ.偽性腸閉塞(CIPO:chronic intestinal pseudo obstruction)
頻度 あまりみない
GL慢性偽性腸閉塞症の診療ガイド(2012)
治療のポイント
・根本的な治療法は確立されていない.
・小腸内細菌異常増殖症(SIBO:small intestinal bacterial overgrowth)診断のために,可能であれば水素呼気試験を行う.
・まず食事制限を試みる.
・SIBO合併の場合は,腸内滅菌療法が有効であることが多い.
・栄養障害がある場合は中心静脈栄養を,薬物療法で腹部膨満症状の改善がない場合は経皮内視鏡的胃空腸瘻造設術(PEG-J:percutaneous endoscopic gastro-jejunostomy)を検討する.
◆病態と診断
A病態
・消化器領域の希少疾患で難病指定されており,時として致死的となる.
・ほぼ全例で腹部膨満を認める.
・慢性的な腸管拡張により,小腸不全,bacterial translocationが引き起こされ,低栄養や敗血症は時として致命的となる.
B診断
・6か月以上,①画像上,病的な腸管拡張および鏡面像を認めること,②腸閉塞症状をきたしうる器質的原因がないこと,によって診断する.
・最新の診断基準では,シネMRI(動画MRI)や小腸内圧検査によって小腸運動異常を証明することで診断可能となっている.
◆治療方針
小腸切除は原則施行すべきでない(絞扼などの緊急時を除く).排便コントロール,腸内滅菌に加え,重症例では減圧療法と栄養療法が肝要である.
A食事制限
1日1食から2食,1回食事量も30~50%として,腹部症状が改善するかを評価する.
B排便コントロール
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
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