頻度 あまりみない
治療のポイント
・胆管癌やIgG4関連硬化性胆管炎などの鑑別すべき疾患の除外が重要である.
・根本的治療は肝移植のみである.
・内視鏡的治療の適応は慎重に選択すべきである.
・胆管癌の高危険群であり,慎重な経過観察が必要である.
◆病態と診断
A病態
・原発性硬化性胆管炎は,肝内外の胆管に生じる,びまん性・多発性の線維性狭窄による慢性胆汁うっ滞性疾患である.
・徐々に進行し,10~15年の経過で肝硬変に至る.
・胆管癌の高危険群であり,5~14%に合併するとされる.
・本邦では厚生労働省により指定難病の1つとされている.
B診断
・胆管癌やIgG4関連硬化性胆管炎,原因の明らかな2次性硬化性胆管炎を除外することが必要である.
・IgG4関連硬化性胆管炎は自己免疫性膵炎に合併することが多く,血清IgG4の上昇が特徴的である.
・数珠状所見・剪定状所見・憩室様突出などの特徴的な胆管像と,血清ALP値の上昇に基づいて診断される.
・炎症性腸疾患の合併と肝組織像(線維性胆管炎/onion skin lesion)は診断の参考となる.
◆治療方針
根本的治療は肝移植のみである.胆管狭窄の改善や肝硬変への進行抑止効果を証明された薬物療法は今のところ存在しない.また,内視鏡的治療の適応は慎重に選択すべきである.
厚生労働省難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班により作成されたガイドラインも参照されたい.
A肝移植
脳死肝移植ではChild-Pughスコア10点以上の非代償性肝硬変が適応とされる.一方,本邦で主となっている生体肝移植では,繰り返す胆管炎や難治性腹水などを有する場合,Child-Pugh分類B相当でも適応とされる.
B薬物療法
近年,血清ALP値を低下させることで予後を改善させる可能性が報告されており,下記処方が用いられることが多い.
Px処方例
ウルソデオキシコール酸(ウルソ薬)錠(100mg