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GL薬剤性腎障害診療ガイドライン2016
GLがん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2016
ニュートピックス
・現在,「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン」を改訂中である.
治療のポイント
・原因薬剤(被疑薬)を同定し,中止あるいは減量する.
・薬剤性急性間質性腎炎において,被疑薬中止においても腎障害が遷延する際はステロイド療法を考慮する.
◆病態と診断
A病態
・薬剤性腎障害とは,薬剤の投与により新たに発症した腎障害,あるいは既存の腎障害のさらなる悪化を認める場合と定義される.
・発症機序に基づき,①中毒性:アミノグリコシド系抗菌薬やシスプラチンなど,②アレルギー性(過敏性):ペニシリン系やセフェム系抗菌薬,抗てんかん薬など,③電解質異常,腎血流量減少などを介した間接毒性:NSAIDs,シクロスポリンなどのカルシニューリン阻害薬(CNI:calcineurin inhibitor),④尿路閉塞性:メトトレキサート,サルファ剤,アシクロビルなど,の4つに分類できる.
・また腎の障害部位に基づき,①糸球体障害,②尿細管障害,③腎間質障害,④腎血管障害に分類することもある.
・薬剤性腎障害のうち臨床的に頻度が高いものとして,急性腎障害(AKI:acute kidney injury)を呈し,腎の尿細管や間質の障害により発症する尿細管間質障害型が挙げられる.
・近年,免疫チェックポイント阻害薬(ICI:immune checkpoint inhibitor)などの新規薬剤の普及に伴い,癌診療中の薬剤性腎障害の発症頻度も増えている.
B診断
・診断のポイントは,①該当する薬剤の投与後に新たに発生した腎障害であること,②該当薬剤の中止により腎障害の消失,進行の停止を認めること,の2点を満たし,かつほかの原因が否定できることである.ただし,個々の薬剤により薬剤投与から発症までの時間が異なることや