今日の診療
治療指針

急性リンパ性白血病
acute lymphoblastic leukemia(ALL)
土橋史明
(東京慈恵会医科大学附属第三病院教授・腫瘍・血液内科)

頻度 あまりみない

GL造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版

GL造血幹細胞移植ガイドライン急性リンパ性白血病成人(第3版)(2020)

ニュートピックス

・二重特異性T細胞誘導抗体製剤ブリナツモマブ(ビーリンサイト)を初回治療に組み込んだ治療成績が報告され,Ph陽性ALLにおいても従来の抗癌剤を使用しない“chemotherapy-free treatment”の選択が可能となってきた.

治療のポイント

・Ph陰性ALLとPh陽性ALLでは治療法が異なる.

・Ph陰性ALLでは思春期・若年成人世代において小児ALLにおける治療に準じた治療法が行われるようになっている.

・Ph陽性ALLでは,チロシンキナーゼ阻害薬がkey drugとなる.

・治療前の白血球数,遺伝子・染色体異常などの予後因子,さらには微小残存病変レベルでの治療反応性を評価し,治療方針を決めていく.

◆病態と診断

A病態

・造血幹細胞からリンパ球の分化過程で生じるリンパ系前駆細胞の腫瘍化と考えられている.

・腫瘍細胞が骨髄で増殖し正常造血が阻害され,さらには芽球浸潤による髄外組織での腫瘤形成および中枢神経系への浸潤などが認められる.

B診断

・急性白血病が疑われれば骨髄穿刺および骨髄生検が行われ,骨髄塗抹標本で芽球割合が骨髄有核細胞の20%以上であれば急性白血病とされる.

・さらにミエロペルオキシダーゼ染色および細胞表面マーカー検査にてリンパ性あるいは骨髄性か,リンパ性であればB細胞性かT細胞性かの鑑別を行う.

・同時に染色体核型検査および白血病キメラ遺伝子についてのスクリーニングを行い,フィラデルフィア染色体(Ph)の有無,予後にかかわる遺伝子および染色体異常の確認が行われる.

◆治療方針

 急性リンパ性白血病(ALL)に限らず急性白血病の治療ではPS(performance status),年齢および合併症など全身状態を評価し,使用

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