頻度 割合みる〔亜急性甲状腺炎:人口10万人対年間約10人(中年の女性に多い)〕
頻度 あまりみない〔急性化膿性甲状腺炎:1人未満(小児に多い)〕
GL甲状腺疾患診断ガイドライン2021
ニュートピックス
・新型コロナウイルス感染症に伴う亜急性甲状腺炎の症例報告が増加している.
治療のポイント
・亜急性甲状腺炎に対しては消炎鎮痛薬やステロイドホルモン薬を用いる.
・急性化膿性甲状腺炎に対しては排膿,抗菌薬,下咽頭梨状窩瘻の外科的切除を行う.
◆病態と診断
A病態
・亜急性甲状腺炎はウイルス性の甲状腺炎である(しばしば上気道感染症状が先行する).ウイルスの種類は多岐にわたる(コクサッキー,ムンプス,アデノ,インフルエンザ,コロナなど).
・急性化膿性甲状腺炎は甲状腺への細菌感染である.先天性では下咽頭梨状窩瘻のほか,甲状舌管の残遺や先天性鰓瘻などが原因で発症する.後天性では甲状腺腫瘍・癌を基礎疾患として,HIV,糖尿病,白血病などによる免疫不全状態に合併する.
B診断
・亜急性甲状腺炎は有痛性の(自発痛や圧痛を伴う)結節性甲状腺腫と全身の発熱を主症状とし,炎症反応〔C反応性蛋白(CRP)・赤血球沈降速度(ESR)〕が陽性となり,甲状腺中毒症(遊離T4 高値,TSH低値)を伴う.甲状腺超音波検査では疼痛部に一致した低エコー域を認める.炎症部位は時に移動する(クリーピング現象).HLA-B35と関連する.
・急性化膿性甲状腺炎では甲状腺内やその周囲に膿瘍を形成する.頸部の疼痛(皮膚の発赤・熱感を伴う)と全身の発熱を主症状とし,炎症反応(CRP・ESR)が陽性となるが,甲状腺機能は通常正常である.甲状腺超音波検査では甲状腺内やその周囲に膿瘍を認める.膿瘍からの細菌培養と食道造影・ファイバースコープによる瘻孔確認で診断する.
◆治療方針
A亜急性甲状腺炎
ウイルス性の炎症疾患であるため,急性期に対症療法をしながら自
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