頻度 (0.4%~4.4%と報告によりかなり幅があり,高齢者になるほど頻度が高い)
治療のポイント
・高頻度に遭遇し,半数は非機能性腺腫であるが,残りの半数にはさまざまな疾患が含まれる.
・治療方針の決定には,良悪性の鑑別と,ホルモン産生能の評価を行う.
・ホルモン産生能と画像診断の結果から,手術を行うか経過観察を行うかが決まる.
◆病態と診断
A病態
・画像検査で偶然に発見された径1cm以上の副腎腫瘍を副腎偶発腫とよぶ.
B診断
・良悪性の鑑別とホルモン分泌能の評価が治療方針決定のうえで重要となる.
1.良悪性の鑑別
・腺腫,骨髄脂肪腫,嚢胞,神経節神経腫などの良性病変と,褐色細胞腫,悪性腫瘍転移,副腎癌などの悪性病変がある.非機能性腺腫が全体の50%以上を占める.
・良悪性の鑑別には腫瘍サイズが重要であり,直径4cm以上では悪性病変の可能性を考える.3cm未満では腺腫など良性病変が多い.ただし,悪性でも初期であればサイズは小さく,増大傾向があれば悪性を疑う.
・単純CTでCT値が高ければ悪性病変,CT値が低ければ良性病変の可能性が高い.CT値が10HU未満で内部均一で辺縁平滑な腫瘍のほとんどは腺腫である.
・MRIも鑑別に有用であり,chemical shift imagingで信号低下を認めれば腺腫を,T2強調画像や拡散強調画像で高信号であれば悪性病変を疑う.
2.ホルモン分泌能(機能性)の評価
・副腎皮質・髄質ホルモンを評価する.
・高血圧を有し,血漿アルドステロン濃度60pg/mL以上(CLEIA法)かつ血漿アルドステロン濃度/血漿レニン活性比が100以上であれば原発性アルドステロン症を疑う(アルドステロンの測定法がCLEIA法に変わったことにより診断基準が変更になっていることに留意).
・コルチゾールの基準値を超える自律分泌を認めるものを(顕性)クッシング症候群,コルチゾールの自律分泌を認めるもの