今日の診療
治療指針

骨軟化症(内科)
osteomalacia
今西康雄
(大阪公立大学大学院准教授・代謝内分泌病態内科学)

頻度 あまりみない

GLくる病・骨軟化症の診断マニュアル(2015)

GLビタミンD不足・欠乏の判定指針(2017)

治療のポイント

・原因不明の骨痛・腰下肢痛を認めた場合には血清アルカリホスファターゼ(ALP)を測定し,高値であるならば骨軟化症の可能性を考慮し,鑑別診断・治療を行う.

◆病態と診断

A病態

・骨軟化症は骨組織の石灰化障害により骨脆弱性をきたし,骨折・偽骨折を起こす.

・Ca,P,ビタミンDの不足により骨石灰化が障害される.

・骨芽細胞の分化障害を反映して,血清アルカリホスファターゼ(ALP)や骨型アルカリホスファターゼ(BAP)が上昇する.

・骨細胞より分泌される線維芽細胞増殖因子23(FGF23:fibroblast growth factor 23)は,副甲状腺ホルモン(PTH),活性型ビタミンD〔1,25-(OH)2D〕と協調して,血清CaおよびP濃度を維持している.

・FGF23関連低リン血症では,FGF23の過剰によるP利尿亢進とビタミンD活性化障害により,低P血症性くる病・骨軟化症を起こす.

・ビタミンD欠乏やファンコニ症候群ではFGF23以外の要因で低P血症となるため,血清FGF23濃度は低下している.

・骨軟化症は胃切除後症候群の一症状でもあるが,術式としてBillroth-Ⅱ法や胃全摘を避けることにより頻度は減少した.

B診断

・血清ALP,P,Caの測定や,骨シンチグラフィを含めた画像診断による骨折・偽骨折の確認を行う.単純X線では恥骨や大腿骨などに,偽骨折によるlooser zoneを認めることもある.

・骨軟化症を疑う場合,発症時期や家族歴の聴取によりくる病と鑑別する.成長軟骨帯の閉鎖以前に発症した場合はくる病,それ以降の発症は骨軟化症である.X連鎖低P血症性くる病(XLH:X-linked dominant hypophosphatemia)が,遺伝性くる病で最

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