今日の診療
治療指針

アレルゲン免疫療法:舌下免疫療法
allergen immunotherapy(sublingual immunotherapy:SLIT)
星野 誠
(国際医療福祉大学熱海病院病院教授・アレルギー内科・総合内科)

ニュートピックス

・「喘息予防・管理ガイドライン」が2021年10月に改訂され,アレルゲン免疫療法が喘息の長期管理薬の追加治療の筆頭として明示された.

・ダニアレルギーで特にアレルギー性鼻炎を合併する喘息で,安定期予測1秒量(%FEV1)≧70%の場合はアレルゲン免疫療法を考慮する.

治療のポイント

・アレルゲン免疫療法はアレルギー疾患の自然経過を修飾し,疾病の寛解や治癒が期待される唯一の治療法で,新たなアレルギー疾患発症予防や併用薬剤の減量効果,症状の改善が認められる.

・ダニ舌下錠は海外では鼻炎だけでなく喘息に対しても有効と報告されているが,日本では喘息には保険適用がなく皮下免疫療法のみが適用となっている.

・アレルゲン免疫療法には即効性はなく,最低3年以上の長期治療期間が必要である.

・舌下免疫療法は重篤なアナフィラキシーを起こすことはまれで,副反応のほとんどは投与開始1か月以内の軽微な局所のアレルギー反応である.

◆病態と診断

・アレルゲン免疫療法の発現機序は制御性T細胞の誘導であり,これから産生されるIL(interleukin)-10やTGF(transforming growth factor)-βなどの抑制性サイトカインによりアレルゲン特異的IgG4抗体が産生され,即時型反応の阻止抗体として作用する.また,IL-10やTGF-βは好酸球浸潤や肥満細胞の活性化を抑制するとともにType 2炎症を抑制する.

◆治療方針

 アナフィラキシーに対する迅速な対応が可能な施設において,アレルゲン免疫療法に熟練した医師の監督下において注意深く施行される治療法である.なお,処方するにあたってあらかじめ講習会を受講するかeラーニングを受講し,eテストに合格したのちに処方医療機関・緊急搬送連絡先医療機関を登録する必要がある.

ASLITを選択する理由

 SLITは皮下免疫療法(SCIT:subcutan

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