今日の診療
治療指針

好酸球増加症
hypereosinophilia
中村 豊
(東北医科薬科大学教授・医学教育推進センター)

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治療のポイント

・好酸球増加の原因と関連疾患は膨大な数に上るため,システムレビューと身体診察から行うべき臨床検査を特定し,一次性/二次性に分類後,臓器障害の程度を評価し治療方針を決定する.

◆病態と診断

A病態

・末梢血好酸球数が500/μL以上の場合を好酸球増加とし,500~1,500/μLを軽度,1,500~5,000/μLを中等度,5,000/μLを上回る場合を高度好酸球増加とする.

好酸球数1,500/μL以上を1か月以上の間隔で2回認める場合を好酸球増加症(HE:hypereosinophilia)とし,好酸球数増加症のなかで好酸球による臓器障害・機能障害を認める場合は好酸球増加症候群(HES:hypereosinophilic syndrome)と定義される(表1).

・臓器障害は皮膚,呼吸器,消化器,心臓に比較的多く認められる.

・末梢血好酸球数は必ずしも臓器障害とは関連しない.

・好酸球は一次性(クローン性/腫瘍性)または二次性(反応性)に増加する.臨床的に経験する好酸球増加は二次性のものが多い.世界的には寄生虫感染によるものの割合が高いが,先進国では薬剤性やアレルギー性疾患を原因とするものが大部分を占める(表2).

・アレルギー性疾患が原因の場合,好酸球増多は500~1,500/μLの軽度な増加にとどまることが多い.

B診断

・市販薬や健康食品の使用歴,喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー歴,家族歴,食生活,海外渡航歴について聴取する.そのほか発熱,発汗,全身倦怠感,体重減少の有無,臓器症状はシステムレビューで確認する.

・肝脾腫やリンパ節腫脹を認めるときは骨髄増殖性腫瘍や白血病などの骨髄疾患,ホジキンリンパ腫,非ホジキンリンパ腫,IgG4関連疾患などが鑑別される.

・二次性好酸球増多では血清IgEと血清TARC(thymus and activation-re

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