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治療のポイント
・詳細な問診と特異的IgE抗体価や皮膚テストを組み合わせて診断する.
・アレルゲンの回避と症状に対する薬物療法が基本となる.
・患者ごとのライフスタイルや考え方を考慮したうえで,ペットとの共存が可能かを考えていく.
◆病態と診断
A病態
・ペットの飼育世帯率はイヌ12.64%,ネコ9.78%という調査結果があり(2018年),本項ではイヌ・ネコアレルギーに関して述べる.
・ハウスダスト1g中のイヌの主要アレルゲンCan f 1を10μg以上,ネコの主要アレルゲンFel d 1を8μg以上が喘息発作の閾値とすると,室内犬を飼っている家庭では89.7%,室内猫を飼っている家庭の95.3%がその閾値を超える.
・喘息発作の回数における米国での研究で,イヌに感作された群では毎年100万件以上,ネコに感作された群では毎年50万件以上増加すると試算されている.
B診断
・詳細な問診と特異的IgE抗体価や皮膚テストを組み合わせて診断する.
・飼育している家庭に訪問すると悪化する,旅行中は症状が改善する,などが問診として重要となる.
・感作されていても症状がないケースも少なからずあり,これは,防御抗体ともいわれるIgG4抗体の上昇などのメカニズムが働いていることが想定されている.
◆治療方針
実用化されている免疫療法は,現状では存在しない.そのため,アレルゲンの回避と症状に対する薬物療法が基本となる.
Aアレルゲンの回避
同じ家庭内で飼育している以上,アレルゲンは衣服などに付着して拡散する.例えば,ネコを飼っている子どもが多い教室と少ない教室では,空気中のネコアレルゲンの中央値に5倍の差があったという報告もある.ただ,ペットを手放すことが最初の対策ではなく,患者ごとのライフスタイルや考え方を問診したうえで,環境調整や薬物治療により共存可能かどうかを考えていく必要性がある.そのうえで,それ