今日の診療
治療指針

合成・生物学的抗リウマチ薬の副作用と対策
countermeasures against adverse reactions to synthetic and biological antirheumatic drugs
金子祐子
(慶應義塾大学教授・リウマチ・膠原病内科)

治療のポイント

・現在汎用されている抗リウマチ薬の多くは免疫抑制作用を有するため,感染症には常に留意する.

・MTXは特に肝障害と骨髄障害に注意が必要である.

・JAK阻害薬使用中の帯状疱疹発症率は明らかに高い.

・急性間質性肺疾患発症時は,原因の鑑別が重要である.

◆病態と診断

A感染症

・多くの抗リウマチ薬は免疫抑制作用を有するため感染症のリスクとなり,ニューモシスチス肺炎や帯状疱疹など日和見感染症をきたす可能性もある.特にヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬使用中の帯状疱疹発症率は高い.

・抗リウマチ薬開始前に,結核や非結核性抗酸菌症の有無のスクリーニングを行う.

・IL-6阻害薬使用時は,重症感染症が存在しても症状が軽微なことやCRP上昇が乏しいことがあるため,注意が必要である.

B肝障害

・メトトレキサート(MTX)による肝障害は用量依存性で,葉酸製剤併用で予防をはかる.

・抗リウマチ薬開始前にHBV感染の有無のスクリーニングを行い,キャリアの際には肝臓専門医と相談のうえ,抗ウイルス薬を開始する.既感染の場合は,再活性化について3か月に1回程度,HBV-DNAをモニターする.

C血球減少

・MTXによる血球減少は葉酸拮抗に伴う骨髄障害であり,汎血球減少をきたす.腎障害や低Alb血症,脱水がリスクとなる.

・IL-6阻害薬使用時に好中球減少や血小板減少をきたすことがあるが,多くは感染症増加や出血につながることはなく臨床的に問題にならない.

・サラゾスルファピリジンは,まれだが急性に血球減少をきたすことがあり,開始3か月間は2週間に1回程度,血球の推移を観察するのが望ましい.

D間質性肺病変

・RA治療中に出現または増悪した間質性肺病変は,薬剤性,ニューモシスチス肺炎や異型肺炎などの感染症,リウマチ肺悪化などさまざまな原因が考えられ,すみやかな鑑別と適切な治療が必要となる.

E投与時反応

・生物学的抗リウマチ薬は

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