頻度 あまりみない(2018年に施行された全国疫学調査では,強直性脊椎炎は3,200人,X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎は800人程度と推定)
治療のポイント
・疾患活動性評価に基づく重症度や患者の希望,骨強直のリスクの有無などを考慮し,NSAIDs,生物学的製剤を適切に選択する.
・前部ぶどう膜炎や炎症性腸疾患の既往など,関節外症状の有無も治療薬選択には重要となる.
◆病態と診断
A病態
・axSpAは体軸関節である仙腸関節,脊椎の靭帯付着部に炎症をきたす疾患群である.
・仙腸関節のX線基準〔強直性脊椎炎(AS:ankylosing spondyloarthritis)のために策定された改訂New York基準〕を満たすaxSpA(r-ax SpA:radiographic ax SpA)と,同基準を満たさないaxSpA(nr-ax SpA)に大別される.
・前部ぶどう膜炎,炎症性腸疾患,乾癬,心血管疾患など,多彩な関節外症状を呈する.
・病因はHLA B-27などの遺伝的要因を背景にメカニカルストレス,炎症,腸管・皮膚などを由来とする病原体関連分子パターンの移行などが,局所自然免疫系細胞による炎症性サイトカインの産生を導くと考えられている.
B診断
・AS,nr-ax SpAとも炎症性腰背部痛が特徴的であるが,ASの診断(厚生労働省)は臨床症状としての腰背部痛,腰椎可動域制限,胸郭拡張制限と仙腸関節X線所見で,nr-ax SpA(厚生労働科学研究班)は炎症性腰背部痛に加え仙腸関節のMRI所見またはHLA B-27保有かつCRP上昇,SpAの臨床症状や家族歴で診断する.
・AS,nr-ax SpAとも鑑別・除外診断を確実に行うことが重要である.
◆治療方針
ax SpA治療の目的は,①疼痛やこわばりをはじめとするさまざまな症状をコントロールすること,②靭帯骨棘の進行による強直の抑制を目標とする
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