今日の診療
治療指針

IgG4関連疾患
IgG4-related disease
川上 純
(長崎大学大学院主任教授・リウマチ・膠原病内科学)

頻度 あまりみない

ニュートピックス

・「2020改訂IgG4関連疾患包括診断基準」が公表された.国際的には,研究や治験などに必要となる,均一な集団の抽出を目的に,The 2019 American College of Rheumatology(ACR)/European League Against Rheumatism(EULAR)classification criteria for IgG4-related diseaseが米国リウマチ学会と欧州リウマチ学会合同で発表されたが,これは①Entry criteria(典型臓器における特徴的な臨床像,放射線学的な所見あるいは病理学的所見),②Exclusion criteria,③Inclusion criteria(重み付けがなされたドメインにおけるスコアリングで20点以上)の3ステップでの分類である.

治療のポイント

・罹患しやすい臓器分布はあるが多岐にわたり,罹患臓器により症状は異なる.IgG4関連疾患の治療のゴールは,寛解を導入・維持し,臓器障害を抑制し,有害事象を最小限にすることである.

・一般的に治療適応となるのは,病変により閉塞性病変がある場合,炎症による臓器障害が進行する場合,自覚症状が持続する場合などであるが,軽度の涙腺炎,唾液腺炎,非症候性リンパ節腫大など,経過観察でフォローする場合もある.

・治療の中心はステロイドであり,治療反応性は良好であるが,その減量や中止で再燃する頻度は高い.ステロイド維持療法の必要性や中止時期は,慎重に判断する.一方,IgG4関連疾患は中高年に好発すると報告されており,感染症,骨粗鬆症,代謝障害などのステロイドの副作用には十分に留意する.

・悪性腫瘍の合併率が高いとの報告がある.「2020改訂IgG4関連疾患包括診断基準」や「2019 ACR/EULAR分類基準」においても鑑別診断の重

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