治療のポイント
・ステロイドの副作用は,免疫抑制による感染症と代謝への影響によるものが主である.
・ステロイドの減量中止により改善する副作用もある.
・ステロイド使用前に副作用について患者に説明しておく.
・免疫抑制薬を併用するなどして,原疾患の治療に必要な量のステロイドは使用する.
A感染症
ステロイドは炎症抑制,免疫抑制をもつので,易感染状態となる.一般の感染症に加え日和見感染のリスクが高くなる.時間的余裕があればステロイド大量投与前に齲歯,歯周囲炎を治療する.
1.結核
ステロイドにより結核の再燃のリスクは上昇するため,中等量~大量のステロイドを使用する場合にはインターフェロンγ遊離試験や胸部CTなどで結核のスクリーニングをする.潜在性結核感染症と診断した場合は,イソニアジド(INH)を6~9か月間投与する.INHが服用できない場合は,リファンピシン(RFP)を4~6か月投与する.RFPを使用する際は,ステロイド量を1.5~2倍程度増量する.
潜在性結核感染症には,原則としてINHを使用する.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
結核菌が検出された場合は,結核の治療を行う.
2.ニューモシスチス肺炎
ステロイド大量投与時や中等量投与で免疫抑制薬併用時には,ニューモシスチス肺炎の予防を行う.ステロイド中等量以下になったら漸減中止を考慮する.第1選択としてST合剤を使用する.副作用で使用できない場合に限り,アトバコンを使用する.
Px処方例 下記1)を用いる.
1)スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ダイフェン薬)配合錠 1回1錠 1日1回 食後
ニューモシスチス肺炎を発症したらST合剤大量とステロイドで治療する.2)と3)を
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