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GL標準的神経治療:手根管症候群(2007)
治療のポイント
・軽症例では,手首の安静など生活指導により自然緩解を期待する.
・保存的治療として,スプリントや,ステロイドの内服・手根管内注入がある.
・重症例では手術療法を検討する.
◆病態と診断
A病態
・手根骨と横手根靭帯で形成される手根管内腔に正中神経や手指屈筋腱が走行しているが,特発性もしくは各種の病態に伴い同部位で正中神経が圧迫されるために生じる絞扼性神経障害である.
・特発性の手根管症候群は中高齢の女性に多い.
・高いBMI,手首を繰り返し使用する運動,閉経,関節リウマチなどで本症の発症リスクが上昇する.
・高齢男性に生じる両側手根管症候群は,野生型トランスサイレチンアミロイドーシスを伴う場合が多い.手術療法を行う際には病理学的にアミロイド沈着を精査すること,心アミロイドーシス病変の精査を行うことが重要である.
B診断
・以下の代表的な症候を複数認める場合は本症の可能性が高い.
1)夜間,早朝に増悪する正中神経領域の感覚障害や疼痛を認める.
2)手を振ることで疼痛やしびれが軽減する(Flick徴候).
3)正中神経領域である環指の正中より橈側の感覚障害を認め,尺骨神経領域である環指の正中より尺側の感覚障害を認めない(ring-finger splitting).
4)Phalen徴候,Tinel徴候を認める.
5)母指球筋の萎縮,短母指外転筋や母指対立筋の筋力低下を認める.
・頸椎症,ほかのニューロパチー,頭蓋内病変との鑑別を行い,併発している病態の有無を精査することが重要である.
・補助検査として神経伝導検査所見を行うことで,障害部位の確認,他疾患の除外,重要度の評価,治療方針の参考とする.
◆治療方針
30~35%の症例では未治療で自然緩解すると考えられている.特に罹病期間が短い場合,若年発症,一側性,Phalen徴候陰性の場合に自然
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