頻度 割合みる
GL筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン2020
◆病態と診断
・筋強直現象(強く握った手が開きにくいなど),顔面・頸部・前腕・下腿優位の筋力低下・筋萎縮を特徴とする.
・本邦ではDMPK遺伝子のCTG繰返し配列伸長で生じる1型がほとんどである.
・多臓器が冒され,世代を経るごとに重症化する傾向(表現促進現象)があり,女性患者では先天性の患児が生じるリスクが高い.
◆治療方針
患者からの訴えが乏しいため,定期的な診察と検査で問題の早期発見と適切な介入を行うことが重要である.
A骨格筋障害
無理のない範囲の運動と事故防止の工夫で,過用・廃用を防止する.筋強直現象への投薬は基本的には不要である.
B呼吸不全・無呼吸
早期から低酸素血症,無呼吸が存在する.呼吸機能,動脈血ガス・経皮的酸素飽和度・呼気終末炭酸ガス分圧,睡眠時呼吸などを評価し,適切な時期から呼吸ケアを導入する.
C心伝導障害・不整脈
不整脈は突然死の原因となるため,定期的に心電図・ホルター心電図などを行い,ハイリスク不整脈にはデバイス治療を考慮する.
D咀嚼・嚥下障害
誤嚥・窒息リスクが高い.口腔衛生が不良な患者が多いので専門的口腔ケアを考慮する.
E耐糖能障害・脂質異常症
インスリン抵抗性があるため,食事指導・体重管理を基本に,適宜薬物療法を試みる.脂質異常症治療薬は横紋筋融解症に注意する.
Px処方例 下記の薬剤を症状に応じて適宜併用する.
1)メトホルミン(メトグルコ薬)錠(250mg) 1回1錠 1日3回 食直前または食後
2)ピオグリタゾン(アクトス薬)OD錠(15mg) 1回1錠 1日1回 朝食前または朝食後
3)ボグリボース(ベイスン薬)錠(0.2mg) 1回1錠 1日3回 食直前
4)テネリグリプチン(テネリア薬)錠(20mg) 1回1錠 1日1回 朝
F白内障,難聴
若年性白内障が多い.難聴も多いが,中耳炎によるこ
関連リンク
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