ニュートピックス
・関節リウマチ(RA)の薬物治療は,生物学的製剤(Bio),ヤヌスキナーゼ阻害薬(JAKi)の使用により変化し,骨破壊進行は抑えられている.しかし手指,足趾は早期から変形,破壊がみられている.
・女性に多い疾患であるため,変形があることで意欲の低下,気分の落ち込みなどが生じ,うつ状態になっていることもあり,機能面のみならず心理面の観察も重要である.
治療のポイント
・薬物治療で効果のなかった,単関節,少数関節が手術治療の適応になる.
◆病態と診断
・関節内滑膜炎によって骨破壊,靭帯バランスの異常により変形を起こす.関節の変形,圧痛の確認,関節超音波検査,単純X線検査(図),CT検査を行う.
◆治療方針
A手指ボタン穴変形
手指近位指節間(PIP)関節屈曲と遠位指節間(DIP)関節過伸展を伴う変形である.PIP関節の滑膜炎による中央索の断裂と側索の屈側への転位が原因である.手術方法はPIP関節に拘縮がある場合,屈曲拘縮解離と滑膜切除,Oshio法に準じて両側の側索,横支靭帯を背側に吊り上げる.
B手指スワンネック変形
手指PIP関節過伸展とDIP関節屈曲を伴う変形である.関節炎により内在筋の短縮性拘縮により,PIP関節が過伸展する.PIP関節に拘縮がある場合,拘縮解離,滑膜切除,さらにThompson-Littler変法に準じ,尺側側索をPIP関節掌側から回して橈側側索へ縫合する.
C手指尺側偏位
手指中手骨指節(MP)関節の滑膜炎により,掌尺側に脱臼し,手指が尺側に流れる変形である.尺側の内在筋を切離し,関節包をあけ,滑膜切除する.中手骨骨頭,基節骨基部の骨切除を行い,シリコンインプラント(図)を挿入する.軟部組織のバランス再建も重要である.
D母指ボタン穴変形
母指MP関節が屈曲し指節間(IP)関節が過伸展する変形である.母指MP関節の滑膜切除,シリコンインプラント(図)を挿