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治療のポイント
・X線所見よりも患者の症状を優先し,装具・薬物療法を中心とした保存療法が一般的である.
・ほかの炎症性関節疾患を見逃さないことが重要である.
◆病態と診断
A病態
・変形性手関節症は,手指の遠位指節間(DIP:distal interphalangeal),近位指節間(PIP:proximal interphalangeal),中手指節,母指手根中手(CM:carpometacarpal)関節のいずれかに,関節軟骨の摩耗,軟骨下骨の骨硬化,骨棘形成などをきたす変性疾患の総称である.
・年齢,女性,人種,家族歴などが関連因子として知られているが,疾患特異的な遺伝子は明らかになっていない.罹患関節の分布は,本邦ではDIP関節に最も多い.
・DIP関節の後外側に,骨棘形成に伴ってできる硬い隆起をヘバーデン結節,PIP関節に同様にできる隆起をブシャール結節とよぶことがある.
B診断
・単純X線両手正面像で,関節周囲の骨棘,関節裂隙狭小化,軟骨下骨の骨硬化,骨嚢胞形成の有無,程度を評価する.Kellgrenらが提唱したKellgren-Lawrence分類が一般的である.
・母指CM関節症においては,Eaton分類が頻用される.診断には,第一中手骨を大菱形骨に向けて軸圧を加えながら回旋させるgrindテストが有用で,疼痛やクリックが誘発されれば陽性と判断する.
・鑑別疾患として,乾癬性関節炎や関節リウマチなどの炎症性関節疾患が挙げられる.X線画像所見や罹患関節分布の違い,皮膚所見や他関節症状の有無,血液検査・超音波・MRI検査での炎症の評価が鑑別に有用である.
◆治療方針
保存療法として,NSAIDsを中心とした薬物療法,装具療法や患者教育,理学・物理療法などの非薬物療法が有用である.保存療法で疼痛が長期間改善しない場合や,側方動揺性などを伴い機能的に問題が出る場合は,外科的治