今日の診療
治療指針

変形性膝関節症
osteoarthritis of the knee
山神良太
(東京大学医学部附属病院・整形外科)

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ニュートピックス

・2021年,関節内注射製剤としてヒアルロン酸にジクロフェナクを化学結合させたジョイクル(ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム)が発売され,薬物療法の選択肢が増えた.

治療のポイント

・薬物療法などの保存療法で疼痛緩和をはかるとともに,患者に運動療法や体重管理の重要性を理解してもらう.

・保存療法にて症状が改善せずADL低下がみられる場合には,手術療法を含めた治療方針決定のため整形外科専門医へ紹介する.

◆病態と診断

A病態

・膝関節軟骨の変性・摩耗に伴い,軟骨下骨の硬化や骨棘形成などの変形をきたし,関節機能障害に陥る退行性疾患である.膝関節痛と関節水症を主症状とする.

・本邦での有症状の変形性膝関節症患者は,約1,000万人と推定される.

・年齢とともに罹患率は上昇し,男女比は1:4で女性に多くみられる.

・肥満や素因(遺伝子)が関与する.外傷や化膿性関節炎に続発することもある.

・初期では歩きはじめなど動作開始時の痛みを生じ,次第に正座や階段昇降などが困難になり,末期では関節拘縮や変形(多くは膝内側に変形を生じたO脚変形)のために歩行に支障をきたす.

B診断

立位単純X線正面像関節裂隙狭小化骨棘形成を評価するKellgren-Lawrence(KL)分類でgrade 0から4までの病期分類を行う().

C鑑別診断

・関節リウマチ:膝関節を初発とすることがある.関節水症が持続する場合や単純X線で関節裂隙狭小化が内外側ともにみられる場合には,血液検査で鑑別する〔,「関節リウマチ(内科)」の項を参照〕.

・骨壊死:大腿骨内側顆に好発する特発性骨壊死が最も多い.発症初期には単純X線画像で診断困難なことが多く,MRI検査を要す.時に夜間痛がみられる.

◆治療方針

 症状緩和を治療目標とする.保存療法に抵抗性でADL低下をきたす高度変形や機能障害,疼痛がみられる場合には

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