今日の診療
治療指針

先天性内反足
congenital clubfoot(CCF)
岡田慶太
(東京大学・整形外科学)

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治療のポイント

・出生時に前足部が内転し尖足がある場合は本疾患を疑う.

・早期から治療が必要となるため,すぐに小児整形外科専門医へ紹介する.

・Ponseti法によるギプス矯正が主流である.

◆病態と診断

A病態

・先天性内反足とは前足部の内転,後足部の内反,尖足,凹足を伴う足をいう.

・変形が硬いため,徒手的に正常な足の形に戻すことは難しい.

・発生率はおよそ1,000人に1人,発症原因は不明である.

B診断

のような足が典型的な先天性内反足である.つま先は内側に入り込み(前足部内転),土踏まずの辺りに深い皺が見られることが多い.足関節の動きが硬く尖足が強い.

・新生児の足根骨はほとんど骨化していないため,単純X線写真での評価は難しい.正常足の足部正面像では,踵骨と距骨が楕円形に写りハの字型に開いて見える.しかし先天性内反足では踵骨が距骨の下にroll inしているため,これらの骨が重なって見えるのが特徴である.

◆治療方針

 現在はPonseti法が世界中で行われている.週に1回ギプスを巻き直して緩徐に足部変形を矯正する.よりよい矯正位を得るために石膏ギプスを用いることが必須である.

 変形矯正の順番が重要でまず凹足から矯正する.足部を回外させながら第1中骨を持ち上げることで凹足を矯正し,その後,距骨頭を支点に,前足部を回外させながら外転していく.通常は5,6回の矯正で,足部が70度程度外転するようになる.その段階で足関節の可動域が背屈15度以下であれば,アキレス腱皮下切腱を行う.

 海外では皮下切腱を外来で行うが,本邦では全身麻酔下に行う施設が多い.アキレス腱皮下切腱後は,3週間のギプス固定を経て外転装具へと移行する.外転装具はバーに両足の靴が取り付けられており,足部が外転位で保持される.最初の4か月は常時装着し,その後は4歳頃まで睡眠中に装着する.変形が再発したときはギプス矯正

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