今日の診療
治療指針

腎盂・尿管腫瘍
renal pelvic and ureteral tumor
北村 寛
(富山大学教授・腎泌尿器科学)

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GL腎盂・尿管癌診療ガイドライン2014年版

ニュートピックス

・プラチナ・ベースの化学療法および免疫チェックポイント阻害薬治療後に増悪した転移性尿路上皮癌患者に対して,エンホルツマブベドチン(パドセブ)の全生存期間延長効果が示され,保険収載された.

・2022年4月にロボット支援腹腔鏡下腎尿管全摘除術が保険収載された.

・「腎盂・尿管癌診療ガイドライン」が2023年にアップデートされる予定である.

治療のポイント

・CT,CT urography,MRIによる病期診断と生検または尿細胞診による腫瘍グレード評価を行い,治療方針を立てる.

・低異型度癌や上皮内癌は,条件により腎温存療法が可能な場合もある.

・転移癌の治療は膀胱癌と同様の薬物療法である.

◆病態と診断

A病態

・腎盂・尿管腫瘍の90%以上は尿路上皮を発生母地とする尿路上皮癌で,以下扁平上皮癌,腺癌と続く.

・喫煙,芳香族アミン,フェナセチン,アリストロキア酸の曝露による発癌や,リンチ症候群との関連が知られている.

・無症候性肉眼的血尿や健診などでの顕微鏡的血尿を契機に発見されることが多い.

・腎盂・尿管癌は,膀胱などを含めた尿路内腔全体に,時間的空間的に多発する特徴がある.

B診断

・診断にはCT urographyが第1選択となる.MRIは代替検査として施行される.

・尿細胞診は高異型度尿路上皮癌で陽性になりやすいが,膀胱癌よりも感度は低いとされる.

・腫瘍生検および選択的尿細胞診採取を含む尿管鏡検査,逆行性腎盂尿管造影検査がしばしば施行される.

・腎盂・尿管癌の10%前後に同時性膀胱癌を認めるため,膀胱鏡検査は必須である.

・CTはリンパ節転移および遠隔転移の有無を評価する目的でも行われる.

◆治療方針

A臨床病期T2までの腎盂・尿管癌に対する治療

 腹腔鏡下腎尿管全摘除術が標準治療である.通常は尿管口をカフ状に切除する膀胱部分切除術とと

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