今日の診療
治療指針

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群
interstitial cystitis(IC)・bladder pain syndrome(BPS)
上田朋宏
(泌尿器科上田クリニック・院長(京都))

頻度 割合みる

GL間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン(2019)

ニュートピックス

・保険適用のある治療薬剤がなかった本疾患に対して,2021年4月からジメチルスルホキシド(ジムソ,DMSO)50%膀胱内注入液が保険収載された.特に膀胱鏡下に新生血管が集簇する膀胱粘膜病変として認められるハンナ病変を伴う間質性膀胱炎が適応となっている.また,2022年ハンナ病変に対する電気凝固術も保険収載された(K800-4).

治療のポイント

・難治性過活動膀胱や繰り返す膀胱炎症状は間質性膀胱炎を疑う(多くの患者は受診時,異常なしや精神的原因として話も聞いてもらえない).

・食事や日常のストレスなど生活習慣を改善する(免疫学的に亢進した病態で,サプリメントや刺激物は症状を悪化させる).

・難治な膀胱症状があれば,内視鏡にて膀胱粘膜のハンナ病変を確認する〔狭帯域光観察(NBI:narrow band imaging)などで新生血管の集簇を確認する〕.

・ジメチルスルホキシド膀胱薬液注入療法と膀胱水圧拡張術で,膀胱痛軽減と1回排尿量増加を目指す(生活の質を回復させるために膀胱訓練を継続する).

◆病態と診断

・膀胱上皮のバリア機能の破綻により,尿が膀胱間質に浸透して慢性炎症が持続する疾患である.慢性炎症は新生血管が集簇する特徴的な発赤病変(ハンナ病変)として確認される.

・典型的症状は尿貯留に伴う膀胱痛や不快感であるが,疼痛発現前に排尿する場合には頻尿や尿意切迫感といった過活動膀胱様の症状がみられる.

・診断は細菌性膀胱炎や過活動膀胱の治療を行っても1か月以上続く膀胱不快感,膀胱痛・不快感などの症状で疑い,内視鏡によるハンナ病変を確認して確定する.また,4%キシロカインの膀胱注入で膀胱痛が減弱する場合は膀胱を主病変とする間質性膀胱炎(IC),疼痛が減弱しない場合には膀胱外要因による膀胱痛症候群(BPS)とし

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?