頻度 あまりみない
GL陰茎癌診療ガイドライン2021年版
治療のポイント
・限局癌に対しては,陰茎部分切断もしくは全切断術が行われる.
・限局性早期癌に対しては,放射線療法も選択肢となる.
・鼠径リンパ節を主な対象とした適切なリンパ節郭清を行うことが重要である.
・進行癌に対しては多剤併用化学療法が行われる.
Ⅰ.陰茎癌
◆病態と診断
A病態
・先進諸国ではまれな悪性腫瘍である.
・包茎,高リスクヒトパピローマウイルス感染が重要な危険因子である.
・亀頭,包皮,冠状溝に発症することが多い.
・好発年齢は50~70歳である.
・扁平上皮癌が95%を占める.
B診断
・多くは視認可能であるが,包皮に覆われる部位に発生する腫瘍,小さく異型度の低い腫瘍などは,肉眼的診断が困難である.
・確定診断には生検が必須である.
・深達度診断は,視診,触診に加え,MRI,超音波などの画像診断を行う.
・鼠径リンパ節転移の頻度が高く,同部の触診および画像診断を行うが,診断特異性は低い.
◆治療方針
A限局癌に対する治療
1.手術
腫瘍辺縁から2cmのマージンを確保し,陰茎部分切断もしくは全切断術が行われてきたが,切除マージンは5mm程度で十分であると認識されつつある.
早期の限局癌に対しては,レーザー治療などの陰茎温存治療が考慮されることもあるが,本邦では保険未収載である.
2.放射線療法
陰茎温存を希望する早期の限局癌に対する治療選択肢の1つであり,外照射または小線源療法が施行される.
Bリンパ節郭清
リスク分類,触知リンパ節の有無,その可動性などに基づき穿刺吸引細胞診,リンパ節生検などを施行し,適応例には鼠径リンパ節郭清を行う.鼠径リンパ節の転移数,節外進展の有無などを考慮し,骨盤リンパ節郭清を行うことがある.
C進行癌に対する治療
シスプラチンなどによる多剤併用化学療法を行うが,本邦では適応症に陰茎癌が記載されている抗癌剤はない.