頻度 よくみる(思春期8~16%,成人15%,第2子不妊患者75~81%)
治療のポイント
・精索静脈瘤は陰嚢痛などの症状がある場合のほかは,青少年期で精巣萎縮が認められる場合や,不妊症で精液所見に異常を認める場合などに手術適応となる.
・不妊症においては術後精液所見の改善が50~80%程度の患者に認められ,自然妊娠率は25~50%である.
◆病態と診断
A病態
・精索静脈瘤は陰嚢内の蔓状静脈叢の怒張とうっ血が病態であり,蔓状静脈叢から内精静脈,腎静脈への血流が逆流することが主因であると考えられている.
・一般の健康な男子においては,思春期8~16%,成人15%に認められるとされる.一方男性不妊症患者においては35%,第2子不妊患者においては75~81%に認められる.
・内精静脈が左側は腎静脈に流入するため左側に多く認められ,両側例は成人では15~50%と報告されている.実際,超音波検査などでは,触知可能な左精索静脈瘤の成人例の40%に右の静脈血逆流が認められたと報告されている.
・無症状で偶然発見されるものも多いが,陰嚢痛や不妊が受診の契機となる.
B診断
・仰臥位と立位で診察を行い,Grade 0:超音波検査のみで描出可能なもの,Grade 1:バルサルバ法のみで触診可能なもの,Grade 2:触診可能であるが視診では確認できないもの,Grade 3:視診で確認できるもの,に分類する.
・ドプラ法を含めた超音波検査で拡張血管と血液の逆流を観察する.同時に精巣のサイズを計測する.
◆治療方針
基本的に無症状のものに治療は必要ないが,青少年期で患側精巣が20%以上小さい場合や両側精巣が小さい場合は手術を行うと精巣もcatch-up growthすることが多い.疼痛などの症状がある場合や不妊症で精液所見に異常を認める場合も手術適応と考えるが,Grade 0の場合は基本的には手術は行わない.
手術方法と