治療のポイント
・皮膚科領域のレーザー療法には,メラニンやヘモグロビンを有する細胞・組織を選択的に破壊する選択的熱光融解と,熱作用により非特異的な変性・壊死を起こす治療法がある.
・治療のメカニズムは,主にレーザー光の発振波長,パルス幅,出力の要素で構成される.
◆治療方針
A色素性病変
1.使用機種
メラニンの吸収波長である694nmのルビーや755nmのアレキサンドライト,1064/532nmのNd:YAGで,メラノソームを標的としたパルス幅のQスイッチレーザーを使用する.なお,近年はさらにパルス幅の短いピコ秒レーザーが開発され,副作用が少なく,刺青治療や薄い色素病変に対して効果的な治療とされている.
2.適用疾患
保険適用疾患として,太田母斑や異所性蒙古斑,扁平母斑,外傷性刺青がある.また,保険適用ではないが,老人性色素斑,後天性真皮メラノサイトーシス,雀卵斑,刺青除去の治療に有用である.
■不適切使用
通常の照射方法では悪化する肝斑や,悪性が疑われる場合.
B血管病変
1.使用機種
オキシヘモグロビンの吸収波長である595,590,585nmで,0.45~40msとパルス幅が選択できるパルス幅可変式ロングパルス色素レーザーが,皮膚科領域では用いられる.
2.適用疾患
保険適用疾患として,毛細血管奇形や乳児血管腫,毛細血管拡張症がある.
■不適切使用
静脈奇形といった他の血管病変や悪性が疑われる場合.
C脱毛(保険適用外)
毛のメラニンに吸収される波長の810nm半導体やアレキサンドライト,1,064nm Nd:YAGで,毛包に作用するロングパルスレーザーが使用される.
D小腫瘤病変
1.使用機種
細胞内の水を標的とし,表皮や真皮浅層から中層まで剥離する10,600nm CO2 といった剥離的レーザーを選択する.
2.適用疾患
母斑や脂漏性角化症,疣贅などの良性腫瘍の小病変がある.