頻度 あまりみない(サルコイドーシス患者の3割前後に皮膚病変がみられる)
治療のポイント
・皮膚サルコイドーシスは,そのタイプによって自然消褪しやすいものがある.代表的なものは,結節性紅斑様皮疹,皮下型サルコイドーシス,膝の瘢痕浸潤などで,これらは,経過観察のみでよい.ほかに結節性病変も消退する場合が多い.
・薬物療法を開始して皮疹が軽快した場合,その薬剤が効いたのか自然消褪したのかはわからない場合が多い.
◆病態と診断
A病態
・皮膚病変は,病理組織学的にサルコイド肉芽腫がみられる特異疹と,そうでない非特異疹に分かれるが,日本人では非特異疹(結節性紅斑)がきわめて少ない.本項では特異疹に絞って記載する.
・サルコイド肉芽腫の形成には,腫瘍壊死因子α(TNF-α:tumor necrosis factor α),インターロイキン(IL)-1β,IL-17などのサイトカインが重要と考えられている.
・サルコイド肉芽腫の中にアクネ菌が高率に検出されることから,疾患感受性を有する患者においてアクネ菌の細胞内増殖が肉芽腫の形成に深く関与していると考えられている.
B診断
・病理組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が確認されることによる.
◆治療方針
サルコイドーシスは全身性肉芽腫性疾患であり,皮膚以外の罹患臓器の治療が優先される.副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬の外用が頻用され,副腎皮質ステロイドの局注が有効と書かれている論文もあるが,病変のタイプや数を考慮する必要がある.皮膚病変に対して全身療法が選択される場合は多くないが,内服薬で最も使用頻度が高いものは,副腎皮質ステロイドとテトラサイクリン系抗菌薬である.海外の論文には,ヒドロキシクロロキン,メトトレキサート,ホスホジエステラーゼ4(PDE-4)阻害薬(pentoxifylline,アプレミラスト),アロプリノール,サリドマイド,ブシラミンなどが紹介さ
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