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GL血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017年改訂版
治療のポイント
・母斑の多くは自覚症状に乏しく,経過観察可能であるが,2次的に悪性腫瘍が生じる一部の母斑や整容的に問題となる場合は治療を検討する.
・脈管形成異常,血管腫のなかで乳児血管腫は薬物療法が可能であるため,早期に正確な診断をつける必要がある.
Ⅰ.母斑
◆病態と診断
・先天的な遺伝子異常に基づいた色調や形の限局的異常を母斑という.
・上皮系母斑,神経堤起源細胞系母斑,間葉細胞系母斑,脈管系母斑に分類される.
◆治療方針
A上皮系母斑
表皮および皮膚付属器から発生する母斑であり,表皮母斑,脂腺母斑,面皰母斑,エクリン母斑,アポクリン母斑などがある.表皮母斑と脂腺母斑の頻度が高い.悪性を含む2次性腫瘍の発生時(特に脂腺母斑で多い)や,整容面で必要があれば外科的に切除する.液体窒素による凍結療法や炭酸ガスレーザーも行われる.
B神経堤起源細胞系母斑
1.扁平母斑(茶あざ)
境界明瞭な褐色斑であり,生下時あるいは出生直後に発生する.レーザー治療が試みられるが再発しやすく,確立された治療法はない.
2.色素細胞母斑(ほくろ)
未分化な色素細胞(母斑細胞)が表皮から真皮内で増殖して生じる.出生時から存在し20cmを超える巨大なものは悪性黒色腫の発生を伴うことがあるため注意を要する.整容面で必要があれば外科的に切除する.
3.太田母斑,伊藤母斑(青あざ)
色素細胞が真皮内に増加して生じる.三叉神経第1・2枝領域に生じるものを太田母斑,上背部から上腕にかけて生じるものを伊藤母斑という.Qスイッチレーザーが有効である.
C間葉細胞系母斑
真皮成分が増殖した結合組織母斑,真皮内に脂肪組織が異所性に増殖した表在性皮膚脂肪腫性母斑,副耳としてみられる軟骨母斑,立毛筋が増殖した立毛筋母斑(平滑筋母斑)などがある.いずれも必要があれば外科