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GL皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版(2022)
治療のポイント
・非黒色腫皮膚癌としては基底細胞癌,有棘細胞癌,乳房外パジェット病が代表的であり,本邦では高齢化を背景として増加傾向にある.
・いずれの皮膚癌も手術療法が第1選択であり,早期段階で適切な切除が行われれば多くの症例で治癒が得られる.
・切除不能の進行例は放射線療法や化学療法の対象となる.
Ⅰ.基底細胞癌
◆病態と診断
・最も罹患数の多い皮膚癌であり,7割以上は顔面,特に下眼瞼,鼻などの顔面正中寄りに好発する.
・黒色調の結節を呈し,増大とともに潰瘍を形成する.
・転移はきわめてまれであるが,緩徐な経過で局所破壊性に増殖する.
・日本人患者では9割以上が黒色調を呈するため,臨床診断にはダーモスコピーがきわめて有用である.
◆治療方針
A手術療法
境界明瞭であれば4mm,不明瞭であれば5mm以上のマージンを取って完全切除を行うが,近年はより縮小された切除マージンの妥当性も検討されている.症例によっては迅速病理診断の併用や二期的手術の適応を考慮する.
B放射線療法
切除不能の局所進行例には放射線療法が選択される.
Ⅱ.有棘細胞癌
◆病態と診断
・表皮角化細胞に由来する扁平上皮癌である.
・紫外線曝露が主な病因で顔面,下腿,手背などの露光部に好発するが,放射線曝露,ヒト乳頭腫ウイルス(HPV:human papillomavirus)感染,熱傷や外傷による瘢痕形成も病因となりうる.
・表面に角質増生を伴った淡紅色の結節・腫瘤を呈し,増大するとカリフラワー状の形状を呈する.
・角化傾向が乏しく紅色びらん調を呈する場合や,潰瘍形成が主体の症例もある.
・局所の進行とともに領域リンパ節に転移しやすい.
◆治療方針
A手術療法
腫瘍の辺縁から4~10mm離して完全切除を行う.腫瘍径が2cmを超える場合はセンチネルリンパ節生検の適応も考慮し,転移例に対してはリ