今日の診療
治療指針

悪性黒色腫
malignant melanoma
結城明彦
(新潟大学大学院・皮膚科学)

頻度 あまりみない

GL皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 メラノーマ診療ガイドライン2019

治療のポイント

・外科的切除が第1選択である.

・切除不能の進行期症例に対しては免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やBRAF/MEK阻害薬を使用する.

・病期Ⅲ,Ⅳの根治切除施行例に対し,術後補助療法としてICIやBRAF/MEK阻害薬(BRAF遺伝子変異例のみ)を1年間投与する.

◆病態と診断

A病態

・皮膚や粘膜のメラノサイト由来の悪性腫瘍である.

・皮膚発生のうち,日本人では足底,足趾などに多く発生し(約4割),末端黒子型といわれる.ほかに表在拡大型,結節型,悪性黒子型といった病型があるが,海外と割合構成が異なる.

・MAP(mitogen-activated protein)キナーゼ経路上のBRAFは悪性黒色腫において最も重要ながん遺伝子の1つである.

B診断

・黒色から褐色の色素斑として発生し,進行に伴い結節や潰瘍を形成する.

・爪甲に出現する場合,不規則線条を呈し進行とともに爪甲破壊を伴う.

・診断にはABCDE診断基準(Asymmetry:非対称性,Border:辺縁不規則,Color:色調の多彩性,Diameter:大きさ>6mm,Evolving:進行性)やダーモスコピーが有用である.

・皮膚生検は,診断確定と,引き続き行う画像検査・治療計画立案のために重要である.

◆治療方針

A初期治療

1.手術療法

 原発巣の腫瘍の厚さに応じ,3~20mmの側方マージンで切除する.領域リンパ節に対しセンチネルリンパ節生検が考慮され,リンパ節転移があった際はリンパ節郭清術も検討される.

2.術後補助療法

 ステージⅢ以上では術後補助療法が適応となる.BRAF変異のない例では抗PD-1(programmed cell death-1)抗体のニボルマブもしくはペムブロリズマブが適用となり,BRAF変異例ではそのほかに分子標

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?