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GL日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン(2017年改訂版)
ニュートピックス
・Ritlecitinib,バリシチニブの治験結果が論文化され,バリシチニブは2022年6月,円形脱毛症が適応追加された.
治療のポイント
・円形脱毛症の治療は,脱毛範囲,病勢とともに年齢や合併症を鑑みて選択される.
◆病態と診断
A病態
・円形脱毛症は,毛包自己抗原に対する自己免疫反応によって脱毛症状をきたす.
・単発型,多発型,全頭型,汎発型,蛇行型,急性びまん性全頭型の臨床型がある.
・親子,兄弟姉妹で発症したり再発を繰り返す例があるなど,なりやすさを示唆する例も多い.
・爪甲に細かい点状陥凹がみられることがある.
B診断
・脱毛症状に加えてダーモスコピー所見,牽引試験,抜毛試験,皮膚生検などから診断される.
・ダーモスコピーで,感嘆符毛,漸減毛,黒点,黄色点などが観察される.
・牽引試験は,急性期に陽性となる.
・抜毛試験では,pencil hairと呼ばれる毛球部に向かって細くなった毛髪がみられる.
◆治療方針
治療選択は脱毛部位の範囲,病勢(急性期,慢性期)などから選択される.ステロイド局所注射,局所免疫療法,ステロイド外用薬が推奨されるが,病勢に応じてステロイドパルス療法,ステロイド内服なども選択される.
Aステロイド局所注射
トリアムシノロンアセトニド2~4倍希釈溶液を月1回程度の間隔で皮内注射する.
B局所免疫療法
SADBE(squaric acid dibutylester),DPCP(diphenylcyclopropenone)のアセトン希釈液によるアレルギー接触皮膚炎を用いた免疫修飾による治療法.過剰な接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎の悪化などがありうるため事前に十分な説明と同意が必要である.なお,保険適用はない.
Cステロイド外用薬
いずれの症例にも適応可能である.密封療法を併用するとより