頻度 割合みる
GL下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン(2017)
◆病態と診断
A病態
・下腿に生じる潰瘍の総称で,種々の原因で生じるが,静脈性潰瘍の頻度が最も高く欧米では約7~8割は静脈性とされている.約1割は動脈性で両者の合併もあるが,下腿潰瘍の多くは循環障害によるものである.
・その他の原因として糖尿病,膠原病,血管炎,褥瘡,悪性腫瘍,感染症,接触皮膚炎,壊疽性膿皮症,薬剤性,骨髄炎などがある.
B診断
・上記疾患の鑑別のために,現病歴を詳細に問診し,既往歴,職歴,生活歴,薬剤の内服歴,家族歴などを確認しておく.
・下腿潰瘍の多くは静脈性である.特に下腿末梢内・外側の難治性下肢潰瘍は静脈性潰瘍であることが多く,ドプラ聴診器や超音波検査などで伏在静脈と深部静脈の弁不全や血栓の有無を確認することが必要である.
・糖尿病性潰瘍や動脈性潰瘍は指尖部から足底部にかけて生じることが多く,足関節/上腕血圧比(ABI:ankle brachial pressure index)や皮膚灌流圧(SPP:skin perfusion pressure)にて生理的に評価するほか,ドプラ聴診器,超音波検査,CT-angiographyやMR-angiographyにて動脈の血流状態を確認する.
・糖尿病,膠原病,血管炎,皮膚悪性腫瘍が原因である場合は,各種の生理・画像検査や皮膚生検が必要であり,感染症が原因であれば,細菌・真菌培養検査を行う.なお外用薬などの接触皮膚炎が疑われる場合は,対象となる薬剤のパッチテストを行う.
◆治療方針
上記に記載したごとく,下腿潰瘍の治療方法は原因となる疾患により異なる.また,潰瘍部の疼痛や滲出液のコントロールのため局所の加療も必要である.
A原因疾患の治療
1.静脈性下腿潰瘍
治療の基本は弾性ストッキングや弾性包帯による圧迫療法である.長時間の立ち仕事の回避や適度な運動も効果的であ
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