頻度 よくみる(生殖年齢女性の5~8%に発症)
GL産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020
ニュートピックス
・代謝関連の異常を伴うことが多く,それらの疾患との関連性が検討されつつある.挙児までの管理のみならず,プレコンセプショナルケアや予防医学的な側面からの長期的な管理体制がさらに求められている.
治療のポイント
・月経や排卵の状況のみに視野をしぼらず,患者の年齢,挙児希望の有無,合併症の有無などを常に考慮しながら管理を進める.
・挙児希望者には,通常は卵巣内に卵子は存在している排卵障害であることを説明し,全身管理(減量)および低侵襲な治療から進めていくことが重要である.
◆病態と診断
A病態
・卵巣莢膜細胞におけるアンドロゲン産生過剰,顆粒膜細胞でのアロマターゼ活性の抑制による卵胞発育障害が中心的病態である.
・それらにより,黄体形成ホルモン(LH:luteinizing hormone)サージの欠落から排卵障害が起こり閉鎖卵胞からのアンドロゲン分泌亢進が病態の悪循環を惹起する.
B診断
・日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会が2007年に提示した診断基準による.以下の3項目をすべて満たす場合を本症候群とする.①月経異常,②多嚢胞性卵巣,③血中男性ホルモン高値,またはLH基準値高値かつ卵胞刺激ホルモン(FSH:follicle-stimulating hormone)基準値正常.
◆治療方針
A概論
挙児希望の有無にかかわらず過体重(BMI 25以上)の場合には継続した減量の指導が必要である.挙児希望者には減量により自然排卵の発来も期待できること,妊娠した場合も流産や妊娠合併症のリスクが低下すること,標準体重まで至らずとも減量の効果はあることを説明する.
B挙児希望がない例
無排卵によるプロゲステロンの上昇を伴わない恒常的エストロゲン刺激による子宮内膜癌のリスク低下のために,無月経症例には少