今日の診療
治療指針
産婦人科

異所性妊娠
ectopic pregnancy
石川博士
(千葉大学大学院講師・生殖医学)

頻度 よくみる(成人女性)

治療のポイント

・妊娠部位が特定できれば切除を考慮する.

・妊娠部位の破裂を疑った場合には,すみやかに手術を行う.

・無症候例では待機もしくはMTX全身投与も選択可能である.

◆病態と診断

A病態

・受精卵が子宮内腔以外に着床し成立する.

・卵管妊娠以外に間質部妊娠,卵巣妊娠,腹膜(腹腔)妊娠,(子宮)頸管妊娠,帝王切開瘢痕部妊娠がある.

・破裂により大量の腹腔内出血や性器出血をきたし,時に重篤となる.

B診断

・全妊娠の1~2%にみられ,98%以上が卵管妊娠である.体外受精-胚移植など生殖補助医療による妊娠で頻度が上昇する.

・診断には経腟超音波検査と血中ヒト絨毛ゴナドトロピン(hCG)測定が有用である.

・尿妊娠検査(hCG定性)は陽性で,子宮腔内に胎嚢を認めない.下腹部痛と不正性器出血を認めることが多い.

・超音波検査で子宮腔外に胎嚢様像を認めることが多いが,腹腔内出血・血腫像のみのこともある.

・正常妊娠のごく初期,子宮腔内妊娠の流産,胞状奇胎との鑑別を要する.

◆治療方針

 原則は妊娠部位の除去である.無症候例には待機療法,薬物療法も選択可能である.

A手術療法

 腹腔鏡下または開腹し妊娠部位を除去する.卵管妊娠では卵管切除,卵管切開が行われる.破裂による腹腔内大量出血例では全身循環動態を管理しつつ,すみやかに破裂部位を切除する.

 頸管妊娠・帝王切開瘢痕部妊娠は経腟的に除去できることが多い.

B待機療法・薬物療法

Px処方例

 メトトレキサート(メソトレキセート)注 1回50mg/m2 筋注 単回投与保外

 無症状で胎児心拍を認めず,血中hCG値が1,000IU/L未満であれば無投薬,5,000IU/L未満であればメトトレキサート(MTX)全身投与を選択し経過観察することもできる.さらに高い血中hCG値であっても成功例はある.メトトレキサートは保険適用外使用である.

 経過観察中に

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