今日の診療
治療指針
産婦人科

分娩誘発,促進法
induction and augmentation of labor
田中 守
(慶應義塾大学教授・産婦人科(産科))

治療のポイント

・分娩誘発とは,医学的,社会的適応により,自然陣痛発来前に陣痛促進薬を用いて陣痛を起こして分娩を目指すものである.

・頸管熟化が不十分な場合,分娩誘発が不成功となる可能性が高いので,必ず先に頸管熟化・拡張法を行う.

・頸管熟化の方法としては卵膜用手剥離,器械的頸管拡張材,頸管熟化薬投与を検討する.

・子宮収縮薬には,持続点滴で投与するオキシトシン,ジノプロストと,経口投与するプロスタグランジンE2 があり,「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」に厳格に従って,慎重に投与する.

◆治療方針

A頸管熟化

1.ジノプロストン

Px処方例

 ジノプロストン(プロウペス)腟用剤(10mg) 1回1個,後腟円蓋に腟軸に対して本剤の長軸が垂直になるように挿入(最長12時間)保外薬価基準未収載

注意 投与開始後に,①30分間にわたり規則的で明らかな痛みを伴う3分間隔の子宮収縮,②新たな破水,③人工破膜を行うとき,④過強陣痛やその徴候の発現,⑤胎児機能不全やその徴候の発現,⑥悪心,嘔吐,低血圧などの全身性の副作用の発現のいずれかに該当する場合は,すみやかに除去する.

注意 本剤除去後にオキシトシンまたはプロスタグランジン製剤あるいは吸湿性頸管拡張材,メトロイリンテルまたはプラステロン硫酸エステルナトリウムを使用する場合は,少なくとも1時間以上間隔をあける.

注意 1回の分娩において,2個以上使用しない.

2.器械的頸管熟化

 吸湿性頸管拡張材,メトロイリンテルを用いる.

B分娩誘発・促進

Px処方例 下記のいずれかを用いる.優先順位は1),2),3)の順である.

1)オキシトシン(アトニン-O)注 5単位を5%ブドウ糖液,リンゲル液あるいは生理食塩液500mLに溶解し,点滴静注.

  開始時投与量:1~2ミリ単位/分(6~12mL/時),維持量:5~15ミリ単位/分(30~90mL/時),最

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