今日の診療
治療指針
産婦人科

遺伝カウンセリング
genetic counseling
三浦清徳
(長崎大学大学院教授・産科婦人科学)

GL医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2011)

ニュートピックス

・2021年5月の「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書」では,「妊娠の初期段階において妊婦等へ誘導とならない形で,出生前検査に関する情報提供を行っていくことが適当である」と記載された.

・2021年11月に産婦人科や小児科,遺伝医学などの関係学会,医師・看護師などの団体,ELSI(倫理・法・社会)分野の有識者,障害者福祉の関係者,患者当事者団体,検査分析機関の関係者等幅広い関係者を構成員とした「出生前検査認証制度等運営委員会」が日本医学会に設置され,出生前検査は医療界全体の課題として多様な職種が連携して取り組まれている.

・2022年2月に「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」が策定され,すべての都道府県にNIPTの認証医療機関が認定された.

治療のポイント

・遺伝カウンセリングでは,まず相談者の話をよく聞いて適切な情報を提供することが大切であり,遺伝医療の専門家(臨床遺伝専門医,認定遺伝カウンセラーなど)と連携して,相談者の自己決定を支援することが重要である.

◆病態と診断

A病態

・胎児染色体異常は,数的異常と構造異常とに大別され,その発症機序や症状はさまざまである.

・染色体数的異常のうち,トリソミーの胎児を妊娠するリスクは,母体年齢が高くなるにつれて上昇する.流産例では16トリソミーが最も高頻度に認められ,出生例では21トリソミー,18トリソミー,13トリソミーの順に認められる.その他,性染色体の数的異常(45,X,47,XXY,47,XXXなど)が知られている.

・染色体構造異常には,転座,逆位,欠失,重複などがあり,胎児に認める染色体構造異常のなかには,その原因が両親いずれかの均衡型転座などの染色体核型に由来していることがある.

B診断

1.検

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