今日の診療
治療指針

早産児の無呼吸発作
apnea of prematurity(AOP)
北野裕之
(石川県立中央病院・総合母子医療センター部長)

治療のポイント

・未熟性に起因しない続発性(二次性)無呼吸を必ず鑑別する.

・無呼吸発作時には,新生児蘇生法に準じてすみやかに介入する.

◆病態と診断

A病態

・無呼吸発作は20秒以上の呼吸停止,あるいはそれ以下の呼吸停止であっても心拍数100bpm未満の徐脈やSpO2 の低下,チアノーゼ,筋緊張の変化を伴うものと定義される.

・①中枢性無呼吸,②閉塞性無呼吸,③混合性無呼吸の3つの病型に分類される.

B診断

・無呼吸発作の多くが早産児の未熟性に起因したapnea of prematurity(AOP)であり,原発性(一次性)無呼吸とよばれる.一方,AOP以外の無呼吸は続発性(二次性)無呼吸とよばれ,感染症や低血糖,中枢神経疾患などが原因となる.

◆治療方針

A非薬物療法

1.ポジショニング

 良姿位の維持,腹臥位管理.

2.酸素療法

 低濃度(22~25%)酸素投与により児の静睡眠が増え,無呼吸発作が減少する.

3.経鼻的持続陽圧呼吸(n-CPAP:nasal continuous positive airway pressure)/高流量鼻カニューレ療法(HFNC:high-flow nasal cannula)

 n-CPAPは4~6cmH2Oで使用することで上気道が支持され,咽頭や喉頭が閉塞するリスクを軽減する.HFNCもn-CPAPと同様の効果が期待されるが,現時点では十分なエビデンスがない.

B薬物療法

 メチルキサンチン製剤(カフェイン,アミノフィリン)から開始する.このうちカフェインは,副作用の少なさ,治療域の広さと中毒域の高さ,半減期の長さ(1日1回投与が可能)で優れており使用頻度が高い.ドキサプラムは,メチルキサンチン製剤で十分な効果が得られない場合に限り投与する.

Px処方例 下記の1)または2)で開始し,症状の改善がなければ3)を併用する.

1)無水カフェイン(レスピア)静注・経口液 初

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