Ⅰ.脳室内出血(IVH)
治療のポイント
・根本的な治療法はない.発症予防が重要である.
・発症後は対症療法が中心となる.
・出血後水頭症に注意する.
◆病態と診断
A病態
・正期産児では,仮死,分娩外傷,血管奇形,出血性素因などが原因で起こる.原因不明の場合もある.
・早産児では,正期産児に比してIVHの頻度が高い.側脳室周囲に破綻しやすい血管を含む上衣下胚層が存在すること,凝固能の未熟性,循環動態の不安定さなどが原因となる.生後72時間以内の発症が多く,急性期の細やかな管理が重要である.
B診断
・頭部超音波検査が有用である.出血部位は高輝度となる.Papile分類(Ⅰ度:脳室上衣下出血,Ⅱ度:脳室拡大を伴わないIVH,Ⅲ度:脳室拡大を伴うIVH,Ⅳ度:脳実質出血)が用いられ,Ⅲ~Ⅳ度は重度とされる.
◆治療方針
A発症の予防
1.インドメタシン投与
早産では,脳血流変動抑制によるIVH予防を目的にインドメタシンの投与を考慮する.
Px処方例
インドメタシンナトリウム(インダシン薬)注 1回0.1mg/kg 生後6時間以内に開始 24時間ごとに3回まで 静注保外
2.その他
周産期管理の整った施設での分娩,トレーニングを受けた医療者による新生児蘇生,minimal handling,呼吸循環動態の安定化,凝固異常能の是正など,細やかな新生児管理が重要となる.妊娠34週未満の早産が予想される母体に対するベタメタゾン投与も勧められる.
B発症時の治療
根本的な治療はなく対症療法となる.必要に応じて鎮静薬,抗けいれん薬,血液製剤などの投与を行う.
出血後水頭症に注意し,頭囲測定や頭部超音波検査で脳室拡大の有無を確認する.水頭症をきたした際には,腰椎穿刺,脳室外ドレナージ,オンマヤリザーバー留置による穿刺排液,脳室-腹腔シャント術などを考慮する.
Ⅱ.脳室周囲白質軟化症(PVL)
治療のポイント
・根本的な治療法は