AB群溶血性レンサ球菌(GBS:Group B Streptococcus)
・母がGBSを産道に保菌している場合,GBSによる新生児敗血症のリスクがある.
・GBSによる新生児敗血症は発症すると死亡率が高いため,母子感染予防が推奨される.
・妊娠後期の腟培養でGBS陽性が判明した場合,分娩時に抗菌薬を投与する.
・予防策の実施が不十分な場合,慎重な新生児観察が重要.
B新生児ヘルペス
・単純ヘルペスウイルス(HSV)は,先天感染の代表的なウイルスだが,実際には先天感染はまれである.分娩時の経産道感染が約85%を占める.
・分娩時に性器ヘルペスを合併していると,初感染の場合はその50%,再発では0~2%に新生児ヘルペスを発症するといわれる.
・初発再発の判断はきわめて難しい.HSV-1既往感染者のHSV-2初感染発症などもあり,抗体検査ではHSVの型まで確定する必要がある.
・分娩時に外陰病変があれば帝王切開を行う.
・外陰病変がなくても,初感染では発症より1か月以内,再発では発症より1週以内は帝王切開を行う.
・初感染では1か月以上,再発では1週以上経ていて外陰病変がなければ経腟分娩を選択しうる.
Cサイトメガロウイルス(CMV)
・CMVは,TORCH症候群と総称される先天感染の代表的なウイルスである.
・CMVに対する免疫をもたない妊婦は,特に感染しないように気を付ける必要がある.妊娠初期に,特に注意すべきは小さい子の唾液や尿に触れないようにすることである.おむつ交換,子どもの食事,鼻水やよだれの処理,おもちゃを触ったあとは念入りに手洗いや消毒をする,食べ物,飲み物は子どもと共有しない,同じ食器も使わない,などの対応が必要である.
・出生時点で症状を認めず,あとになって症候化することもあるため,注意が必要である.
・特に重要なのは難聴であり,早期発見のために生後早期での聴力スクリーニングが有用である