今日の診療
治療指針
小児

腸重積,腸回転異常症・中腸軸捻転症
intussusception and malrotation with midgut volvulus
奥山宏臣
(大阪大学大学院教授・小児成育外科学)

Ⅰ.腸重積

頻度 よくみる(人口1万人あたり5人,男女比は2:1で,肥満男児に多い)

GLエビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン(2012)

治療のポイント

・突然,間欠的に発症するのが特徴で,不機嫌・間欠的で激しい啼泣・嘔吐・血便などの症状が順次出現する.

・放置すれば腸管の循環障害から腹膜炎へと進行するので,緊急の対応が必要となる.

・全身状態がよければ非観血的整復が選択される.

・注腸整復不成功例や腹膜炎合併例などは観血的整復の適応となる.

◆病態と診断

A病態

・器質的病変を伴わない特発性腸重積と,器質的病変が先進部となる2次性腸重積に分類される.

・乳児期の腸重積はほとんど特発性で,回腸末端の腫大したリンパ組織(パイエル板)が先進部になる.アデノウイルスやロタウイルス感染がしばしば先行する.

・ロタウイルスワクチン初回接種後1~2週間は腸重積発症の可能性が高まる.

・器質的病変は,メッケル憩室,ポリープ,腸管重複症,腫瘍性病変などである.

・3歳以上や再発を繰り返す場合は,器質的病変の検索が必要である.

B診断

・3大主徴は,腹痛・嘔吐・血便.排便がないときは浣腸して血便を確認する.

超音波検査は感度,特異度とも良好で,病的先進部の描出も可能である.短軸断面はtarget sign(図1),長軸断面はpseudokidney signと称される.

注腸造影で確定診断し,そのまま非観血的整復に移行する.先進部が陰影欠損像としてみられる蟹爪様所見が特徴的である(図2).

◆治療方針

A非観血的整復術

 腹膜炎やショックの徴候がない症例が対象となる.透視下に6倍希釈ガストログラフインを用いて120cm溶液柱までの圧で整復し,小腸まで造影されることを確認する.非観血的整復の成功率は8~9割である.超音波下整復は放射線被曝がないため,時間の制限なく行える.空気整復は圧モニターを見ながら120mm

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