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GL潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針(2021)
GL小児潰瘍性大腸炎治療指針(2019年)
GL小児クローン病治療指針(2019年)
ニュートピックス
・小児潰瘍性大腸炎に対するヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤アダリムマブの在宅自己注射療法が保険収載された(2021年).
・小児潰瘍性大腸炎に対するヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるトファシチニブの臨床試験が開始されている(2022年).
治療のポイント
・小児では,早期の寛解導入を達成するために成人に対するより積極的な治療が望ましい.
・二次性徴を含めた身体発育を守ることと学校生活への配慮が重要である.
・腸管の抗炎症,および免疫調整療法を主体とするが,クローン病では経腸栄養療法がより重要である.
・ステロイドは寛解維持に使用すべきでない.長期投与は成長障害の原因となる.
◆病態と診断
・遺伝的素因を背景として,食事習慣や腸内細菌叢などの腸内環境が付加的因子となり,腸管免疫に異常をきたして炎症を収束に向けてコントロールできない状態に陥る疾患である.
・成人と比較して,小児の潰瘍性大腸炎は病変部が広範化,重症化しやすい.クローン病は回盲部を含めて小腸・大腸型が多く,診断時から肛門病変を合併する例が比較的多い.
・繰り返す腹痛,下痢,血便のほかに,潰瘍性大腸炎では血性下痢,粘血便,クローン病では不明熱,体重減少,関節痛,口内炎,痔瘻・肛門病変などが重要である.鑑別の対象となる腸管ベーチェット病では,外陰部潰瘍や下肢の結節性紅斑が腸管外徴候として重要である.特にクローン病は発症から診断に至るまでの期間が長く,罹病期間が成長曲線の鈍化として現れることが少なくないため,成長曲線をプロットすることは小児症例において特に重要である.
・潰瘍性大腸炎では下部消化管内視鏡,クローン病を疑う場合は上部消化管内視鏡,カプセル内視鏡,造