頻度 あまりみない〔急性リンパ性白血病(ALL):小児人口10万人対年間3~4人,急性骨髄性白血病(AML):小児人口10万人対年間1人〕
GL小児白血病・リンパ腫診療ガイドライン第3版2016年版
ニュートピックス
・抗CD19免疫療法〔二重特異性抗体製剤ブリナツモマブやキメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞(CAR-T)療法チサゲンレクルユーセル〕の登場により,再発・難治B細胞性ALL(B-ALL)の治療が大きく変わった.
治療のポイント
・治療の基本は多剤併用化学療法である.適切なリスク層別化を行い,再発リスクの高い群に対しては造血細胞移植を実施する.
・特定の病型や再発・難治患者には,分子標的薬や免疫療法の適用を考慮する.
・感染症などの合併症対策として,適切な支持療法を行う.
・晩期合併症の長期フォローアップを行う.
◆病態と診断
A病態
・急性リンパ性白血病(ALL:acute lymphoblastic leukemia)が約70%,急性骨髄性白血病(AML:acute myeloid leukemia)が約25%を占め,そのほか系統不明急性白血病(ALAL:acute leukemias of ambiguous lineage),慢性骨髄性白血病(CML:chronic myeloid leukemia)などがある.
・造血細胞に遺伝子異常が蓄積した結果生じた芽球が,自律的かつ無秩序に増殖することで発症する造血器悪性腫瘍である.造血障害による症状(発熱,顔色不良,紫斑など),および芽球の髄外浸潤による症状(肝脾腫など)を引き起こす.時に,白血球増多による脳梗塞・出血や腫瘍崩壊症候群,T細胞性ALLでは縦隔腫大による気道閉塞,急性前骨髄球性白血病(APL:acute promyelocytic leukemia)ではDICなど,oncologic emergencyへの対応が必要となる.