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治療指針
小児

原発性免疫不全症
primary immunodeficiency diseases(PID)
大西秀典
(岐阜大学大学院教授・小児科学)

頻度 あまりみない

GL原発性免疫不全症候群診療の手引き(2017)

ニュートピックス

・原発性免疫不全症(PID)は,遺伝性自己炎症性疾患などを含む包括的な疾患概念として,先天性免疫異常症(IEI:inborn error of immunity)とよばれるようになっている.

・IEIには,2022年度版の国際免疫学会連合(IUIS:International Union of Immunological Societies)による疾患分類によると,10カテゴリー485疾患が包含されている.

治療のポイント

・疾患ごとに免疫不全の主座が異なるため,易感染性を示す病原体種も異なる.正確な診断に基づいた感染対策が必要である.

・自己免疫疾患や悪性腫瘍などを併発することがあり,感染対策以外にそれぞれの合併症に対する治療も必要となる.

・重症複合免疫不全症(SCID)や家族性血球貪食性リンパ組織球症(FHL:familial hemophagocytic lymphohistiocytosis)などの一部の疾患では,緊急で造血幹細胞移植が必要になることがある.

◆病態と診断

A病態

・生体防御機能である免疫に異常をきたす疾患のことを免疫不全症とよぶが,主に遺伝的素因に起因するPIDと,薬剤や感染症,その他の疾病,老化による機能低下などに起因する二次性免疫不全症に分けられる.

・PIDの基本症状は易感染であるが,必ずしも易感染性を示す疾患ばかりではなく,自己免疫疾患,自己炎症性疾患,アレルギー,血球貪食性リンパ組織球症,悪性腫瘍を併発することがある.

B診断

・PIDの診断にはまず疑って検査をすることが必要である.疑うべきタイミングについて,厚生労働省原発性免疫不全症候群調査研究班から10の徴候として案内されている(http://pidj.rcai.riken.jp/10warning_signs.html)

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