頻度 よくみる〔日本の小児10万人を対象とした大規模疫学調査(エコチル調査)における即時型食物アレルギー(医師診断)の有病率は,1歳が5.9%,2歳が9.9%,3歳が5.2%で,1歳半での消化管アレルギーは1.4%(養育者による症状報告),0.5%(医師診断)〕
GL食物アレルギー診療ガイドライン2021
治療のポイント
・被疑食物の特異的IgEが陽性を示すことだけを根拠に食物アレルギーがあると診断して,不必要な除去を指導してはならない.
・治療の原則は,正しく診断された抗原食物の除去であるが,少量なら無症状で安全に摂取できる食物まで完全除去にすべきではない.
・アナフィラキシーへの対応はアドレナリン筋注であり,ステロイドや抗ヒスタミン薬ではない.
◆病態と診断
A病態
・曝露した食物抗原に対して,免疫学的機序によって生体に有害な反応が起こるのが食物アレルギーである.
・乳幼児の食物アレルギーの多くはIgE依存性で(経皮感作が多い),被疑食物の特異的IgE抗体と被疑食物の抗原が直接Ⅰ型過敏反応を起こす病態が主である.学童期以降は,花粉など食物以外の抗原に感作を受けた患者が交差反応を起こす花粉-食物アレルギー症候群(PFAS:pollen-food allergy syndrome)が増える.
・食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES:food-protein induced enterocolitis syndrome)などの消化管アレルギーは,非IgE依存性で病態は不明である.
B診断
・食物アレルギー診断の基本は食物経口負荷試験であるが,IgE依存性のタイプでは血液検査で被疑食物の特異的IgEが陽性を示したり,皮膚プリックテストが陽性となる.
・IgE依存性の食物アレルギーでは,閾値を超えた当該食物を経口摂取したときに,通常2時間以内に即時型アレルギー反応が惹起される.ただし,納豆や獣肉の場合は数時間か